中教審答申「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」を批判する

 過労死ラインの80時間を超えて月の平均超勤時間が92時間(全教調査22年 「持ち帰り残業」含む)という殺人的な長時間過密労働の下に、私たち教職員はおかれています。子どもを育てるという余裕ある対応が必要な仕事でのこの異常な状況は、一刻も早く解消されるべきです。
 各地の裁判で教員の長時間労働を認める判決が出され、長時間労働の解消を求める世論が高まったことは、政府への大きな圧力となり、中央教育審議会(中教審)での審議にいたっています。 しかし、8月末の中教審の「質の高い教師の確保」に関する答申は、この問題の解決にまったくつながらない上に、職場の分断と管理強化を促すしくみを入れ込んだもので、全国で批判の声が上がっています。
 私たちの要求は「教職員を大幅に増やすこと」とそのために「残業代を支払う制度をつくること」の2点ですが、答申はどちらも拒否しています。
増員については、加配定数をわずかに増やしていますが、基礎定数はそのままです。加配定数は数が小さく毎年度確保される保障もないので、非常勤講師など臨時職にあてられることが多くなります。基礎定数の大幅な改善こそが重要です。
 残業代の支払いについては、教員の労働に時間外の概念はなじまないとしてこれをしりぞけています。しかし、残業代は使用者に対するペナルティであり、2割5分増しとされ、このことが時間外労働を止めるブレーキになります。このブレーキが教員にはないために、どれだけ残業したかも把握されず、時間外に働いても勝手に働いたとされ、長時間労働が野放しにされてきました。
 残業代は財源的に無理だからと教職調整額の増額が検討されていますが、定率支給の教職調整額では、時間外労働のブレーキにはなり得ません。私たちが求めているのはお金ではなく、まず時間です。
 この答申の根底には教育予算の貧困さがあります。OECDに加盟するいわゆる「先進国」36か国で日本の教育予算の対GDP比はワースト3位という情けない状況です。根本的には教育予算の大幅増が必要です。
 答申ではこの他に職階制の強化につながる「新たな職」の導入や、教員特別手当の担任への傾斜配分なども述べています。いずれも職場の分断と管理強化を促すものです。これらは来年以降の地方議会での提案が予想されており、導入させないための運動が必要です。