流れ星

長い間じっとねころんでいた
昼間の暑さはどこかへ遠のき
暮れた空に
潮風は涼しく流れていた

ぼくらは空を見ていた
夥しく落ちてくる
星を見ていた

夜の涼しさに浸っていると
影を濃くする真昼を忘れる
なにも聞こえない静かな夜だ

流れ星が尾を曳いて流れた
その人は
流れ星が消えないうちは
願いが叶うと言った

ぼくは黙っていた

本当にきれいね
星がいっぱい

それでもぼくは黙っていた
黙って毛布にくるまっていた
すっきり心が澄んでいた
ぼくは星を数えた
その人はぼくの顔をのぞき込んで
どうしたの
と、言った
その声は潮風で湿っていた
少しふるえているようだった
けれど優しい声だった

まあ、見てごらん
満ちている空いっぱいの星を

それぎりぼくはなにも言わず
その人もまたなにも言わず
あたりはしいんと
ただ焚き木のはぜる音がしていた

星はどれもこれも
幸福そうだった
みな満たされてキラキラしていた
ぼくはなんだか嬉しくて
心の泉が湧き溢れた
ぼくはその人を見た
その人もまた潤んだ目をしていた
その人は深く息を吸い込んだ
ぼくはその音をはっきりと聴き取った

ぼくは言った
こんなに手が冷たくなった
その人はそれに応えるでもなく
星を見ていた
またひとつ
星がすうっと尾を曳いて流れた

こんどはその人が言った
ほんとに眠るには惜しい晩ね
細々と沁み込むように胸に響いた

ああ生きるということは
どんなにか素晴らしいことだろう
星はひとつひとつ輝いて
まるで砂金でもふりまいたようだ
じっと見ていると
こぼれ落ちそうに見える
ぼくらは寝るのもすっかり忘れ
冴えざえとした目で
沁みじみと空を見ていた
夜は、更けるにしたがって
星はいよいよ輝きをました
もう草も木もひっそりと
静かに眠ってしまった