改定給特法等に関する国の動きの経緯

賃下げや分断とセットの教職調整額引き上げ 
 
 6月11日、全教・教組共闘の反対を押し切って、国会にて、給特法等改定案(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案)が成立しました。
 教職調整額の年1%ずつ10%までの増額とともに、教員特別手当(義務教育等教員特別手当。教諭・養護教諭・実習教員・寄宿舎指導員・講師等に支給)の3分の1削減と担任加算等が含まれています。
 教職調整額の引き上げの財源について財務省は文科省内でのやりくりを求めており、教員特別手当の3分の1削減は、その穴埋めの一つとなるものです。縮減に対する教職員の不満をそらすために担任への加算をセットし、職場を分断して反対の声が上がりにくいようにしています。

 改定法では主務教諭の導入が可能とされましたが、このモデルとなる「主任教諭」を09年に導入した東京都では、教員全体の85%を占めていた「教諭」が、上位の「主任教諭」(3級職)37.4%と下位の「教諭」(2級職)45.9%に分断され、さらに上位の「主幹教諭」(4級職)でも導入前の「教諭」より賃金水準が低く設定されています。主務教諭が導入されれば、教職調整額引き上げの大きな財源となることが予想されます。
 
 給特法改定の当初の目的として、教職員が願ったのは長時間過密労働解消であったのに、さらなる競争の激化、職場の階層化と分断がもたらされる結果となっています。政府は教職調整額の引き上げを盛んに宣伝していますが、基本給や手当等を削っての引き上げですので、仮に約束通り10%まで引き上げられたとしても、現在の基本給をもとにした額よりも大幅に抑えられることが予想されます。 

 なお、担任加算について政府は、担任の労苦に報いるとさかんに宣伝していますが、その額はわずか3,000円で、日割り換算だと162円に過ぎません。主任手当(日200円)とほぼ同等の額であり、労苦に報いることではなく、階層意識を職場に根付かせることが狙いであるのは明らかです。

 改定法の施行は26年1月1日から。国はそのための財源措置を行いますが、教育は地方自治の業務なので、各県はそれぞれの基準で支給でき、国に必ずしも従う必要はありません。しかし財源が乏しく国に頼らざるを得ない多くの自治体では、従わざるを得ない状況があります。

全国の教職員の抵抗の成果

 教員特別手当の3分の1削減と担任加算で、階層化が強まることについては、全国的には特に大きな懸念が広がり、教職員と教育学者の共同の反対運動も起こりました。
 このような動きを踏まえ、改定法では教員特別手当について「現在行われている一律支給分について、その支給ができないとの誤解が生じないよう周知すること」との附帯決議がつきました(衆議院附帯決議12参議院付帯決議14)。
 また国会答弁で望月禎文科省初等中等教育局長は「一律に義務特手当(教員特別手当のこと)を支給することが直ちに法令違反とは考えないとは考えています」と回答しています。
 全教と文科省との8月4日の交渉では、「自治体の判断を尊重すること」との全教の要求に対し、文科省は「義務教育等教員特別手当の学級担任への加算については、地域や学校の実情を踏まえ、各都道府県、政令指定都市において適切に設定していただくことになります」と述べています。