えっボーナスが!

6月30日の一時金支払い日、昨年度まで市立高校で臨時で働き、今年度は県立学校で正規で働く方々が疑問の声を上げました。

市立と県立の異動においても、一時金はすべての職種で、県立間の異動と同様に支払うことになっています。ところがこの方々については他の人よりも短い4月以降の期間で計算されていました。このためだいぶ低い額になっていました。

そのうちの一人は事務室で聞いてみたそうですが、県からの指示通りで詳しいことはわからないとのことだったそうです。それで前任校の分会長に相談し、分会長から支部長、支部長から本部へと連絡が入りました。

本部は県教委に、制度上の不備ならば改正するよう、ミスならば急ぎ対応するよう要求しました。

2日後、県教委から高教組に連絡がありました。制度上の不備はなく、不足分を7月の賃金に上乗せして支払うとのことでした。高教組は過去に遡って他にも間違いがないか確認するよう求めました。

その3日後、県教委から高教組に連絡がありました。間違いはなかったとのことでした。本部は県教委に再発がないよう求めました。

県に確認し交渉できるのは組合だけ 

 今回の件もそうですが、勤務面で疑問に思うことがあっても個人で直接県教委に確認したり交渉することは制度上できません。組合を通じての対応となることが地方公務員法で定められています。組合に加入することと、組合を強く大きくしていくことは、安心して働くために何よりも大事なことです。

地理教育研究会第63回大会が長崎で開催されます

地理教育研究会ウェブサイト

 教職員組合とも友誼関係にある民間教育研究団体で、日本学術会議・協力学術研究団体でもある地理教育研究会が、第63回大会を、2025年8月2日(土)~8月4日(月)に長崎県勤労福祉会館(長崎市桜町9番6号)にて開催します。参加申し込みは同会事務局に7月14日まで。組合からの参加費や交通費などの補助はありませんが、またとない機会ですので、地理に興味のあられる方はぜひご参加ください。組合員の方だけでなく、管理職の方、退職された方、一般の方、学生など、どなたでも参加可能です。詳しくは下記の大会案内をダウンロードしてご確認ください。

一時金支払い日

6月30日は一時金の支払い日です。
昨年度の交渉の結果、6月分の月数は次の通り改善されました。
一般教職員・会計年度任用職員(0.05月増)
      期末1.250月 勤勉1.050月基準
再任用職員(0.025月増) 
      期末 0.70月 勤勉 0.50月基準

 上記の内容は、労働条件の変更ですので、管理職は教職員に連絡する必要があり、朝会で事務長から伝えることが一般的です。しかし最近は連絡のない職場もあるとも聞きます。

 ほとんどの職員が口座振替であるため支払うという感覚が薄れているのかもしれませんが、教職員は自動的に働いてくれるロボットではありません。支払うという意識が雇う側には必要です。

 なお、「ボーナス日」を「ノー残業デー」と設定している職場は多いかと思います。せめてこの日ぐらいは、との思いで設定しているのは重々承知ですが、「この日だけは早く帰ってよい。早く帰れるものなら…」というような現状になってしまっているのは、早急に是正されるべきです。毎日当たり前のように時間外労働を重ねて、残業代も支払われず、この日だけご褒美として定時に帰ってよい(帰れるならば)ということになってしまっているという、古代ローマ帝国の奴隷制度のようなしくみでは(ちなみにローマでは教師は奴隷でした)、教職員のなり手はますます減っていくのではないでしょうか?

給特法等の改定に抗議し、本県での諸手当等の改悪と主務教諭の導入に反対する特別決議

第96回定期大会で決議しました。 国語科教員である島原支部長が朗々と読み上げました。

長崎県高等学校教職員組合は、すべて教職員の長時間過密労働の解消を求めるとともに、本県での諸手当等の改悪と主務教諭の導入に反対してこれらを阻止するため、団結して奮闘します。

第96回定期大会

 長崎高教組は6月21日、大村市・中央コミセンで、第96回定期大会を開きました。すべての議案を全会一致で原案通り可決しました。

【生活・権利、教育条件整備などにおける主な発言】
〇地域活動での夜の見回りに学校の職員として参加するよう指示されてるのに、勤務扱いにならないのはおかしい。
〇学校に依存するような社会でいいのかも問われている。
〇子の看護休暇、「行事」が加わったのだから名称を変更すべき。
〇休暇は分かりやすい名称であるべき。その方が取得率は高まる。名称がわかりづらいと気づかない人もいる。
〇「行事」の拡大を求めていくべき。
〇子ども看護休暇の拡大についてだが、組合員は知っているが、組合に入っていないと知らなかった人は多い。
〇人事異動の内示を早めてほしい。引越しがピーク時に重なる。
〇教員の人事異動で4年は短い。6年での異動を強く要求すべき。
〇部活動は生徒の自主的な課外活動なのに、部活動での人事異動はおかしい。自己推薦書にそれを書くなどといったこともおかしい。
〇加配が削られ職員が減となった。生徒に合わせた丁寧な授業が組めなくなっている。
〇非常勤がつけば授業はカバーできるが、担任や分掌は担当できないので常勤がほしい。
〇暑いのでエアコンを早めに入れてほしいと管理職にお願いしたら、「エアコンを早く入れたらその分冬に暖房を我慢してもらう」と言われた。子どもたちに向き合う者の発言としていかがなものか。根本の原因は学校に降りる予算が少ないからだと思うので、県教委が教育予算を確保することが必要。
〇生徒数の減少もありグラウンドに雑草が生えやすくなっている。野球部顧問が自家用車にレーキをつないで除草作業をしており、何とか使える状態にはなっているが、その顧問の自家用車は砂埃もかぶっている。またその除草作業は部活終了後でないとできないので、平日の夕方だったり、休みの日だったりで、すべてサービス残業。このような教師の犠牲によりかかった制度でよいのか。県の施設なのだから県が責任を果たすべき。
〇ある高校のPTA総会に保護者として参加していたところ「パソコンの故障が増えていて1年生に全員に貸与できない。購入できる人は自分で買ってほしい」との話が出た。高価でもあり保護者負担とすべきではない。県は容認したのか?
〇パソコンの修理に多くの時間が取られている。これは教員の仕事なのか? 子どもと向き合う時間を削られてパソコンと向き合わないといけないのはおかしい。

議員はこういう現場の声にまず寄り添ってほしいものです。

密室談合と政党間の取引で何事も決めてしまう日本の政治は、「民主主義12歳」(マッカーサー)のレベルから成長していないのかもしれません。

「教師を殺す気か」現役教員が語る”沈みゆく教育現場”、給特法改正は「評価できない」(弁護士ドットコムニュース) – Yahoo!ニュース

いつも普通に美味しいご飯が食べたいです。

 古古古古古……米の味については、それぞれで感じ方もあるでしょうが、新米より美味しいことはないわけで、それを新米並みの値段で売るのはいかがなものかと。そもそも税金で買った米で、国民に売るというのは税金を2回取っているようなものでは? 特別の美味を求めているわけではなく、いつも普通にご飯が食べたいというのは、日本の働く人々とその家族のささやかな願いではないでしょうか? 

国が思い描いている将来はこうです。

右表の「主任教諭」が今回新設された主務教諭のモデルです。ちなみに主任教諭の賃金は導入前の教諭の賃金より低いそうです。

教職調整額の引き上げの財源は、文科省内のやりくりでと財務省からくぎを刺されているので、どこかを削らないといけません。だから特支の調整額を半減にしたり、教員特別手当を3分の2にしたりしているのですが、それでもまだまだ足りません。基本賃金を削る以外にないのです。そのために主務教諭を導入して全体を引き下げます。

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教職調整額10%になっても、今より所得は下がっているかもしれません。

文句を言っても県教委は「昇任しなかったからだ。あなたの努力が足りないのだ」としか言わないでしょう。

文科大臣がコメント

 5年かけて10%にしか上げず、しかも多くの手当等を削るくせに、「約50年ぶりとなる教員給与の引き上げを実現します」とは、よく言えたものです。

 またもともと既定だった中学校35人以下学級の他に、教職員を増やす具体的計画は何ら示していないにも関わらず、「取組を進めるにあたり、各教育委員会や学校が、最も重要な主体であることは言うまでもありません」などと責任を下へと丸投げです。

文科相「働きがい感じられる職場環境に」 教員の働き方改革(毎日新聞) – Yahoo!ニュース

全教、記者会見

6月11日、給特法等改定案の成立を受けて、全教は記者発表を行いました。10社の報道機関が参加しました。「主務教諭」の創設と特別支援にかかわる「給料の調整額」の半減に関わる質問がありました。

 子どもたちのSOSを受け止め、子どもたち一人ひとりの成長と発達に寄り添った教育を実現するために、長時間過密労働と教職員未配置の解消は絶対条件です。全教は、ゆきとどいた教育を実現するため、教育政策の転換と教育予算増の実現をめざします。

 長崎高教組は、改定法案の条例化を許さないたたかいに全力をあげる決意です。

教育職給料表の改定の準備

 6月11日に給特法等改定案が成立したことで、主務教諭が導入され、そのための級が新設されます。国がモデルとした東京都の制度にあてはめると以下の通り。
  1級 実習教員・寄宿舎指導員
  2級 教諭
  3級 主務教諭
  4級 主幹教諭・指導教諭
  5級 副校長・教頭
  6級 校長

 各県では、現在密かに改定を準備しているようです。すでに校長会で県教委が報告してしまった県もあるらしい。

 ちなみに東京都では3級でも導入前の教諭の賃金より低いそうです。

 改定での政府の狙いは、学校の階層化とトップダウン化、人件費の切り下げ、の2つで、長時間労働の縮減ではありません。

 長時間労働縮減に期待して、与党案の密室での修正に乗ってしまった政党や教職員組合が多くあり、そのために教職員の願いであった反対での一致を貫けず、法案成立を許してしまったことは、誠に残念なことです。

「教員特別手当を一律減、担任に増」と決定した結果

 6月11日、教員特別手当を全員削って担任だけ上乗せのしくみが成立しました。しかし具体的なコンピュータ上の処理システムをつくる各県教委は困っているようです。「1月から支給といわれても間に合わない」との悲鳴も上がっています。ちなみに北九州市ではシステム変更に1億4700万円との予算が計上されているそうです。

 そしてここまでやっても上がるのは月に1000円行くかどうか。費用対効果を考えれば、全く見合わないものです。

給特法等改定案、参院本会議での討論の要旨

会派は発言順に記載。

共産(反対)   
 残業代不支給が教員を増やさないことにつながっている。
 教職調整額が残業代の代わりなら10%では足りない。
 特支調整額など諸手当等の削減は不当。
 主務教諭の新設は職員の分断を生む。
 時間外労働の存在を認めることが縮減の大前提。

立民・社民・無所属(賛成)
 少しでも長時間労働の縮減につながる修正をと考え、
 立民が中心となって附則をつけたので賛成。
 以下の項目の実施を求める。  
 ①持ちコマ数の削減②教育課程の編成の見直し③教員の増員④支援員の増員、保護者対応などでの措置⑤中学35人学級の次年度からの実現⑥勤務実態調査の実施

維新(賛成)
 教員が時間的精神的にゆとりをもって働くことをめざす法案なので賛成。
 維新が要求して実現した附則は第5条。その趣旨は人事評価の改善が必要ということ。休んだ先生の代わりに働いた時間数の記載欄を設けるなどし、頑張った先生の業績が評価され、賃金やボーナス、昇給に反映するようにすべき。人事評価のしくみを国が示すべき。

国民(賛成)
 一定の前進があるので賛成。
 アフタースクール等の充実も必要。

参議院インターネット審議中継

主任手当

教育の階層化は、

教頭の管理職化→主任手当→副校長、主幹教諭、指導教諭の新設と進み、現在国レベルでは担任手当と主務教諭の新設が決定しました。

他の人よりも優れていると思われたいという心理からか反対しない人も増えていますが、教育は生徒と向き合う1対1の勝負であり、トップダウンにはなじみません。その場にいない人がマニュアルを押し付けても上手くいくものではありません。トップダウンはゼロトレランスなど教育を歪めることにつながります。