あ
集まれば元気 語り合えば勇気 全教とその加盟組織で2004年から使われている言葉。まず集まって話をすれば、元気も勇気も湧くということ。この後に「学び合って確信」などをつけたりすることもある。
い
一時金 一時的に支払われる賃金。ほとんどはいわゆる「ボーナス」で、夏季や年末などに支払われる。公務では期末・勤勉手当。「賞与」ともいうが、これは「ほうびとして与える」という意味で、労使対等の雇用契約になじまないので、経済用語としては使われない。
一般労働組合 あらゆる職種の労働者を結集することをめざした労働組合。19世紀末イギリスで生まれた。要求の統一が難しいことなどから現在は主流ではない。日本では主に中小企業労働者を職種の別なく組織する全労連・全国一般労働組合などがある。
お
オーエン ロバート 1771~1858 イギリスの社会運動家。労働者教育や幼児教育を行った。「幼稚園の発案者」ともいわれる。イギリスの労働組合の全国組織である「全国労働組合大連合」の結成に関わった。労働運動、協同組合運動に大きな影響を与えた。
教え子を戦場に送るな 1951年、朝鮮戦争のさなかに日本教職員組合(日教組)が決定したスローガン。教職員の痛切な悔恨と反省、民主教育を打ち立てるという固い決意が込められている。日本高等学校教職員組合(日高教)も共通スローガンとして掲げ、1991年に結成された全日本教職員組合(全教)もこれを受け継ぎ、平和教育の研究と実践、平和運動にとりくんでいる。
オーガナイザー(organizer) 労働組合運動の中で組織化を担当する人の総称。本部担当者だけではなく現場で「声かけ」など組合加入の勧誘をする者も含む。
オーガナイジング(organizing) 組織化。労働組合に入っていない労働者を組合に加入させる活動と、組合員を対象に行う組織の強化運動。オルグ(独語)。
オキュパイ・ウォールストリート(Occupy Wall Street) 「ウォール街を占拠せよ」「私たちが99%(We are the 99%)」の合言葉で、2011年9月17日から2か月にわたりニューヨーク州マンハッタンのウォール街の一角を労働者が占拠した、経済界・政界に対する抗議運動。
オルグ オーガナイジングのこと。
か
学問の自由 思想及び良心の自由とならんで、絶対に制限することのできない個人の「内心の自由」の1つをなす。国民すべてに認められたもの。大学だけに保障される特権ではない(日本国憲法23条)。
学力 一般には学校でのテストの成績によって示されると考えられている。他方、生活の中で生きて働く力の総体とする考え方がある。この2つの定義ないし接近が必要なのは、学校的学力が、人間として主権者として実社会で生きていく上で、どのような意味を持つのかが、今日の様々な教育の歪みの中で、あらためて問い直される必要があるからである。学力とは何か、それはどのようにして測定可能か、学力の遅れはなぜ起こり、それを回復・保障する手立てはどうか、学力の到達度とその後の発展性はどうかかわるかなど、いずれも教育実践・研究上の重要な課題である。
学歴社会 学歴や出身校などによって、人間の社会的評価がきめられる社会のしくみ。雇用・人事・賃金体系などにおける学歴差別と、大学格差など差別的な教育制度とがむすびついて形成される。
学校5日制 教職員の週休2日制の結果としてもたらされているしくみ。学校外での子どもの生活や活動を保障する社会的諸条件の整備、部活動のあり方の再検討などが必要。
学校づくり 学校は子どもの発達を保障し、子どもたちが自ら生きる力を獲得し、主権者として育つことを援助するためにある。また新しい文化創造の主体を形成することも学校の重要な役割である。したがって、学校教育は人権保障と科学に根差したものでなければならず、国家の支配・企業の影響などから相対的に自立しておこなわれなければならない。このため学校づくりは自治的であることが期待されている。このように、学校づくりという概念は、学校の主体的・自律的側面に着目したものであり、学校設置者の機能からとらえられる学校管理概念とは相対的に区別される。校長・教頭の指導助言機能を含みながら、教職員集団が教育責任をはたすため、研究・協議・決定の重要な機関として職員会議がある。今日では、子どもたちの学校づくりへの参加、保護者との共同の学校づくりが課題となっている。
学校教育法 日本国憲法と第一次教育基本法 (1947~2006年)の精神を学校制度に生かすために、1947年3月31日に公布された法律。学校制度の単一体系化(6・3・3・4制)を基軸に、教育の機会均等化をはかった。義務教育年限の延長、男女共学、大学の自治、教育行政における地方自治の強化など重要な制度原則を定めている。同法は制定後30回以上の一部改正がおこなわれてきた。大企業本位の人づくりへの期待にそう「改正」が多いが、人間の尊厳の確立をめざす原則は損なわれていない。
過労死 長時間過密労働による疲労の蓄積が直接の原因となって、脳卒中、心筋梗塞などで突然に死亡すること。「ジャパニーズカローシ」として国際語とされるほど有名な日本の社会問題となっている。月の超過勤務時間で80時間を過労死ラインといい、これを超えるとその危険度が著しく増加するとされる。教員の場合、全教調査(23年3月発表)によると平均が96時間10分で、極めて危険な状況にある。
管理主義教育 一般に各種の規則や規制、命令などで子どもたちの言動を方向づけようとする傾向を持つ教育をいう。このような傾向は、特定の目標をてっとり早く実現するためであり、子どもたちの内面の成長、発達を軽視し、教育を実務的にすすめることにもなり、子どもたちを人間にふさわしく育てる教育の本旨にもとる。子どもに対するこの傾向は、教育行政当局や管理職の一般教員に対する同様の対応のあらわれであることが少なくない。
き
企業別労働組合 企業別、事業所別につくられる労働組合。戦後の日本の労働組合の一般的な形。組合員の資格がそれぞれの企業の正規労働者に限られ、非正規労働者を排除していること、正規労働者の資格を失うと組合員の資格も失うことを主な特徴とする。所属する企業の利益の範囲内に活動や要求が制限されやすく、労使協調に陥りやすいとされる。
義務教育 保護者が子どもを就学させる義務及び、国・自治体の義務として、学校設置義務、授業料不徴収義務、就学条件整備義務などがある。権利としての教育をすべての子どもに保障する義務を国・自治体・保護者が負う制度。
教育課程 カリキュラム。学校教育においてどのような内容の教育をすべきかを学年段階を追いながら計画的に定めたもの。教育課程はもともと子どもたちと地域の実態にそくして学校が作成するものである。ところが文部科学省は、日本国憲法、第一次教育基本法(1947~2006)の精神を無視して、学習指導要領や教科書検定制度などをつうじて、教育課程の国家統制を強化してきた。
教育権 教育を受ける国民の権利(日本国憲法第26条)。国民の基本的権利の一つであり、子どもの生来的権利。1976年の最高裁判決(旭川学力テスト事件)でも憲法第26条を「子どもの教育は教育を施す者の支配的機能ではなく、なによりもまず、子どもの学習する権利に対応し、その充足をはかりうる立場にある者の責務に属するものとしてとらえられている」と解釈し、国に教育支配権があるとする文部省の主張をしりぞけている。国民の教育権とは、国民が主権者として平和的・民主的な社会を形成し健康で文化的な生活をいとなむのに必要な能力を身につけるために真理・真実を学習する権利であり、保護者にはこうした教育を子どもに保障する責任と権利がある。同時に、教師には、こうした教育をおこなう責任と、それをはたすために、真理・真実を教授する自由、自主的な教育活動をおこなう権限が保障され、教育行政には学問の自由と教育の自主性を擁護し、不当な支配から学校と教師をまもり、教育条件を整備確立する責任がある。
教育研究集会 教研。戦後のアメリカの対日政策の反動的転換と朝鮮戦争の勃発(ぼっぱつ)によって、戦後教育改革にかげりが見えだしたころ、日本教職員組合(日教組)が1951年の大会で「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを採択するとともに、「平和をまもり、真実をつらぬく民主教育の確立」をめざして、全国的規模で、自主的な教育研究集会を組織的にひらくようになったのがそのはじめである。以後、毎年定期的にこの集会がひらかれ、教職員はもちろん、ひろく国民のあいだでも注目されるようになった。60年からは日本高等学校教職員組合(日高教)との共催となった。この運動は、他の産業の労働運動にも影響を与えると同時に諸外国からも注目をあびた。1991年に結成された全日本教職員組合(全教)にも受け継がれ、「開かれた教研」として他の諸団体や国民とも共同して行われるなどさらに発展し、今日に至っている。 長崎高教組の主催する教育研究集会は年2回夏と秋に開催。2月には、保護者や諸団体と実行委員会を組織して、「子どもと教育を考えるつどい」を開催しており、「冬の教研」としている。
教育勅語 1890年に出された勅語(天皇命令)で、皇民教育の基本原理をしめしたもの。天皇を日本の創建者であり、すべての道徳の根源であるとして、絶対的に崇拝させ、天皇への無限の奉仕とくに戦時の忠誠を強制した。1948年6月19日、国会で日本国憲法の精神に矛盾するとして無効宣言がおこなわれ、廃止された。
教育の機会均等 基本的人権の一つとして、身分・財産・人種・性などによる差別なしにすべての人民が教育を受ける機会を均等に保障されなくてはならないとする思想。日本国憲法でもすべての国民は「ひとしく教育を受ける権利を有する」(第26条)と規定している。しかし実態としては、経済的条件や、教育制度・教育課程の実際のありようによって大きく制約されている。
教育費 教育に必要な経費。学用品費、授業料、学習塾費など家庭で負担する私教育費(家庭教育費)と、国・公立学校の建築費や教員の賃金など国と自治体が税収入の中から支出する公教育費に分類することができる。国は財政赤字を理由に公教育費の削減を続けており、また学歴社会もあって私教育費が増大し続けている。国際人権規約では高等教育(大学等)まで無償という目標がかかげられているが、日本は長くこの条項を留保し続けてきた。2012年に国民の声に押されて留保を撤回したが、高校授業料の無償化も後退するなど、実行は遅々として進んでいない。
「教員の地位に関する勧告」 1966年、ユネスコ主催でひらかれた特別政府間会議で採択された勧告。国際労働機関(ILO)とユネスコの長年にわたる努力によってつくられ、教職の専門職性(6項)、教職者が職務遂行上学問の自由を享受すべきこと(61項)、教員団体の政策決定への関与(9項)、教員の市民的自由の保障(80項)など、教員の地位について重要な原則を定めている。
教科書検定 高校以下の教科書は一部文科省著作のほか民間の著作を文科省が審査し、合格したものだけを教科書として認めることになっている。この審査および合否の認定を教科書検定という。文科省は学校教育の内容を細部にわたって学習指導要領で定め、検定はこれを基準にすると称しておこなわれる。このため、特に社会科の教科書等で、その実態が日本国憲法が禁じている検閲に近いものとなっている。教科書検定と学習指導要領は教育の国家統制の有力な手段となっており、教科書裁判でその違憲・違法性が追求された。
教科書裁判 教科書検定行政をめぐり、不利益を受けた教科書執筆者等が、検定の取り消しや損害賠償を求めておこす裁判をいう。日本では家永三郎元東京教育大学教授が自著の高校日本史教科書『新日本史』(三省堂刊)の検定を違憲・違法とし、3次にわたって損害賠償、処分取り消しをもとめて提訴しており、教科書裁判はもっぱらこれをさしている。第1次訴訟は1962年不合格処分、63年の条件付合格処分にたいするものであり、第2次訴訟は66年の改定検定申請の不合格処分についてであり、第3次訴訟は、80年、83年の検定と82年の正誤訂正の不受理についてである。第2次訴訟の東京地方裁判所(杉本良吉裁判長)の1審判決は「国民の教育権」の立場から、当該処分を違憲・違法とし、その取り消しを被告国側に命じた。杉本判決とよばれる。この裁判も最高裁で「原判決破棄差戻し」となり、89年に原告敗訴が確定した。全国の労働組合など諸団体は、この家永訴訟を支援する組織をつくり、教育の自由と民主主義のために奮闘した。
京大滝川事件 満州事変以後の急激な軍国主義化のもとで、自由主義者の京都帝国大学刑法学教授滝川幸辰の刑法学説が「国体に反する」として攻撃され、鳩山一郎文相によって1933年5月25日休職処分が発令された。これに抗議して、京大では法学部教授会が総辞職を決議し、学生も「学問の自由、大学の自治」を守る運動に立ち上がり、東大はじめ全国の学生がこれに呼応して戦前最大で最後の学生運動を展開した。
共同闘争 共闘。他団体と共通の目的達成のために共に協力し合うこと。
勤評闘争 1958年を頂点として、日本教職員組合(日教組)、日本高等学校教職員組合(日高教)などを中心に広範な国民によってたたかわれた、教員に対する勤務評定制度反対闘争をいう。勤務評定制度は、教職員の勤務状況について定期的に評定をおこない、その結果に応じた措置を講ずるというものであり、56年11月に愛媛県教育委員会が教員の昇給停止を直接の目的として実施したのを皮切りに、政府によって全国にひろげられた。それはすでに56年に実施された教育委員の公選制の廃止・任命制への切り替え、教科書検定制度の強化、教育公務員特例法の改悪を内容とする教育二法改悪などと結びついて、教員の生活を破壊し権利を侵害するとともに、教員の思想・信条を統制し、民主教育の破壊、教育の対米従属化・軍国主義化をめざすものであった。これに対する反対闘争は、教職員をはじめ労働者や保護者の共同闘争として全国的に展開された。
く
愚痴も磨けば要求に 全教で使われている言葉。愚痴は敬遠されがちだが、まずは愚痴を言いあう中でやがてきちんとした要求になっていくものであり、愚痴も大事にしようということ。
組合は出会い、ふれあい、高めあい 長崎高教組の現在のスローガン。
組合はみんなでつくるオゾン層 2005年の定期大会議案書「組織拡大のとりくみ」欄に出てくるスローガン。
組合民主主義 労働組合の組織と運営における民主主義、すなわち労働組合の組織と運営、および活動が全組合員の意見や要求を忠実に反映するように、すべて民主的手続きをへて表明された総意によらねばならないとする基本原則のこと。これが「労働組合運動の最高原則」とまでいわれるのは、労働組合がその団結の力を発揮し、運動をすすめるためには、すべての組合員が自発的・積極的に労働組合に結集し、その活動に参加する以外に有効な方法がないからである。そのためには日常の組合活動のあらゆる分野で、また要求の決定から妥結にいたる全過程で、労働組合の主人公である組合員一人ひとりが自由に発言し、徹底的な討議が行えるように保障することが大切である。しかし、組合民主主義を実際につらぬけるようにするためには職場組織(分会)の確立、その自主的活動権の拡大強化、組合規約と役員選挙制度の民主化、少数意見の尊重、定期大会の実施、雇用主の介入、干渉とのたたかい、組合員の政党支持および政治活動の自由の保障といった具体的措置が必要となる。とくに日本の労働組合運動の中でなお支配的な、組合の機関決定による「特定政党支持」義務付けは、個々の組合員の基本的人権をふみにじるとともに、労働者の思想・信条・政党支持にかかわりなく、要求にもとづいて団結し運動する組織としての労働組合の基本的性格を踏みにじる重大な誤りである。この「特定政党支持」義務付けの誤りを克服することは、組合民主主義の確立のためにも決定的な意義を持つ。
軍国主義教育 軍国主義を推進するための教育。戦前の教育勅語体制のもとでの教育はその典型。日本国憲法・第一次教育基本法(1947~2006年)は軍国主義教育を全面的に否定しているが、かつての軍国主義勢力は戦後も残存し、学校教育に過去の侵略戦争や天皇支配の美化などを持ち込んでいる。
け
原水爆禁止運動 核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者擁護・連帯を基本課題とする大衆運動。1954年3月1日のビキニ環礁でのアメリカの水爆実験をきっかけに日本国内で原水爆禁止の世論が急速に高まった。同年8月に、原水爆禁止署名運動がはじまり、翌55年8月までに3238万余に達した。このようなとりくみのなかで、55年8月6日~10日に第1回原水爆禁止世界大会が広島で開催された。原水爆禁止日本協議会(原水協)は第1回大会を受け、55年9月19日に結成され、この大会の中心的担い手として奮闘してきた。この運動は被爆者と被爆国民のねがいを基礎に、世界に核戦争阻止・核兵器廃絶の世論、運動をひろげるために貢献してきた。
こ
高校三原則 戦後の新制高校の制度改革の指標。総合制(普通教育と専門教育の総合)、男女共学、小学区制(1通学区に1高校)をいう。戦前の差別的な複線型中等教育制度への反省にたった平等な制度実現のための具体的目標であった。1960年代の希望者全員入学・高校増設の国民的な運動のなかで自覚化されたが、競争と選別を求める大企業の要求などによって、高校「多様化」や格差化がすすみ、三原則はくずされてきた。高校三原則にこめられた民主的理念を真に実現する制度改革が課題となっている。
公民権運動 1950年代から60年代にかけて闘われた人種差別の撤廃を求める黒人を中心とする運動。
公務員のスト権はく奪 1948年のマッカーサー書簡とそれにもとづく政令201号による公務員・公共企業体労働者のストライキ権はく奪をいう。第2次大戦後、急速に広がった労働運動において3分の1を占めていた国鉄・全逓などの公務員・公共企業体の労働組合を弾圧して、労働運動全体に打撃を与え、さらに一般労働者から公務員を引き離して官僚制を強めることを目的に行われた。代償措置として人事院、人事委員会がある。
公務員の政治的中立性 公務員が特定の政党の利益にではなく、全体の奉仕者としての立場をつらぬくこと。日本国憲法は第15条で「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めている。しかし実際には官僚は権力政党と密接に結びつき、下級公務員に対し「中立性」を盾に上意に従うよう求め、組合運動の中での政治批判を抑え込もうとしてきた。たとえ公務員であっても勤務を離れた場における、私人としての政治的意見の表明は、主権者としての権利を行使するものであり、当然ながら基本的人権として保障されるべきである。
国際労働機関(ILO) 《International Labor Organization》 1917年のロシア革命の影響の下に、1919年のベルサイユ条約にもとづいて国際連盟の一機関として設立され、第二次大戦後、国連の成立に伴い、その専門機関となった。第1号条約は「8時間労働法条約」である。国連機関のILOは総会、理事会、事務局からなり、総会は加盟国の政府代表2名、労使代表各1名で構成されている(三者構成)。加盟国は187(2024年現在)。事務局はジュネーブ。国際労働条約(ILO条約)や各国政府への勧告をつうじて、拘束力を持つ国際労働基準をつくり、ILO憲章でいう結社と表現の自由、労働条件と福祉などを保障するのが任務とされる。日本は批准条約数が少ないことできわだっている(24年9月現在、191条約のうち50条約)。第1号の「8時間労働法条約」さえも批准していない。
子どもの権利条約 1989年11月20日国連総会で採択され、翌年9月2日に発効した史上最初の総合的な子どもの国際条約。とくに発展途上国の子どもの生存権に焦点をあてているが、全世界の子どもの福祉・医療・教育・文化・司法・労働・平和等への権利を全54条で総合的に規定している。保護と教育の対象としてとらえていた従来の子ども観から脱却して、18歳までの子どもの意見表明権、思想・信条の自由、集会・結社の自由などの社会参加券を大胆に認める新しい子ども観に立っている。国連に設置された子どもの権利委員会によって、条約内容の実施状態が点検され、批准国に対して法的拘束力を持つ。
さ
最低賃金制 本来低賃金労働者の賃金を引き上げるために法律によって最低賃金を定め、各企業にこれを強制する制度。日本にはいちおうこの制度があるが、欠陥が多く、次の原則が守られることが必要。①国籍、性別、年齢、身分または雇用条件にかかわりなく、日本中のすべての労働者に適用され、すべての使用者に義務付ける、②最低賃金額は労働者と使用者が自主的に選出した代表者の団体交渉によって決定する、③全国一律の最低賃金を基本に、産業・地域の最低賃金を決定できるようにする、④家内工業・商店・農業などの自家労働の算定、生活保護その他の社会保障による支給額は最低賃金額を基準にして算定する、など。最低賃金制の確立によって、非正規労働者、中小・零細企業労働者などの低賃金を一掃していくことは、大企業労働者を含む労働者全体の賃金を引き上げるために必要である。 現在、日本では都道府県ごとに制定され、長崎県の最低賃金は953円。ちなみに長崎県の部活動手当(週休日指導分)は時間単価にすると900円となり最低賃金を下回っている。
裁量労働制 実際の労働時間でなく、あらかじめ企業と労働者で規定した時間を働いたものとみなし、その分の賃金を支払う制度。勤務時間の制限がなくなり、労働者の裁量で勤務時間を管理できる。たとえば、労働したとみなす時間(みなし労働時間)を8時間と定めた場合、実際の労働時間が1時間であっても10時間であっても、同じ8時間分の賃金が発生する。ただし原則として、労働基準法で定められた上限を超えることはできない。
36(サブロク)協定 時間外労働または休日労働にかんする協定。労働基準法第36条に規定されているため、このようにいわれる。労働基準法第36条は、「法で定めた労働時間をこえた労働と法定の休日の労働について、使用者が労働組合または従業員の過半数を代表する者との間で結ぶ例外協約を認めている。時間外労働、休日出勤の抜け穴として悪用されている。
サボタージュ 就業しつつ作業能率を意識的に停滞させる色々な方法をとって使用者に打撃をあたえる労働者の争議手段の一種。怠業またはサボともいう。日本では1919年に神戸の川崎造船所争議ではじめて組織的におこなわれたが、争議が不当に抑圧されていた戦時中には、反戦運動とつながり、作業妨害や不良品を製造するなどの形でさかんにおこなわれた。
産学協同 民間企業が大学などの研究に援助を与え、その成果を利用すること。大学が民間企業の研究と関係を持つことは、その協力関係が、大学本来の目的に合致した範囲のものであれば問題ないが、この範囲を大きくこえ大学の教育と研究が企業に従属したものとなるときは、大学の健全な発展をそこなう。
産業別労働組合 同一産業における労働条件、作業環境の共通性を基礎にして、同一産業に1つの労働組合組織の目標のもとに組織される。労働者の要求と闘争にもっとも適した労働組合の組織形態。全国単一の規約を持ち、単一の執行部を持ち、企業の枠を超えて労働者を団結させることができる。したがって産業別組合は、企業別、職業別の意識や利害から労働者を解放し、1つの企業での前進を同一産業の全労働者に拡大し、また強力な全国的統一行動の発展を可能にする。しかし、日本で産業別労働組合といわれるものは、以上に述べたようなものとは異なり、個人加盟の単一組織ではなく、その実態は企業別労働組合の連合体という弱点を持っている。全日本教職員組合(全教)も各都道府県教職員組合の連合体である。
サンディカリズム 労働組合のゼネラルストライキなどの「直接行動」によって資本主義を打倒し社会主義に至ることが可能とする思想。アナーキズム(無政府主義)の一種。日本では大杉栄が代表で、1920年代の労働運動に影響を与えた。後に反動化し、一部はファシズムに向かった。
し
自衛隊 日本の軍隊。日本国憲法第9条で、日本は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」ことになっているため、「自衛隊」とよんでいるが、実態は陸海空三軍からなる軍隊である。日米安保条約第5条は「日本国の施政下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」があった場合、自衛隊が米軍との共同作戦を行うことを義務付けている。さらに78年の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)では、この共同作戦を「日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合」にも拡大し、日本以外での米軍有事にも自衛隊が出動することをとりきめた。これら集団的自衛権の行使は日本国憲法9条に明らかに反するものだが、政府は2015年、いわゆる「安保法制」を「成立」させ、自衛隊の米軍補完部隊化を強化した。
ジェンダー 社会的・文化的に形成される男女の差異を意味することば。
私学助成 国および地方公共団体がおこなう私立学校に対する財政的援助のこと。種類としては、経常費補助などの財政的援助、税制上の優遇措置のほか、日本私学振興財団をつうじての融資などもある。私学振興助成法(1975年制定)などによって法的には整備がはかられた。この助成法の付帯決議で経常費の2分の1の助成をめざすことがきめられたが、その目標は達成されず、比率が低下、私学助成の拡充をもとめる運動が強まっている。
失業者 労働の意思があって、求職活動をしているにも関わらず、就労できないでいる労働者。自由な経済の下では、必ず一定数生み出される。日本の総務省がおこなっている統計では、週に1時間でも働けば失業者ではないとみなしており、失業率は実態より低く示される。
実質賃金 物価の上昇分を差し引いた賃金。
児童憲章 中央児童福祉協議会の発議にもとづき、各界の代表者による児童憲章制定会議によって、1951年5月5日に制定された。47年に制定された児童福祉法は、国及び地方公共団体が「児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」(第2条)と定めたが、憲章はこのことを児童の立場から権利として積極的に宣言した。1989年11月、国連総会で「子どもの権利条約」が採択され、90年9月に発効したことにはげまされ、憲章の再認識が進んだ。
児童労働 子どもによる労働。産業革命によって資本主義経済が確立した当初は、労働力が安いことから広範に存在し、長時間労働、深夜労働、危険な労働にも多くみられた。その後の労働運動の結果、児童労働を禁止、制限する法制度と義務教育制度が確立した。
支部・分会 労働組合内部における地域ごと、または職域ごとの組織。長崎高教組では地域ごとの支部と、職場ごとの分会がある。
市民運動 環境問題や女性差別問題、人権問題など、社会の民主的発展に大きな意義を持つ課題をめぐり、様々な立場の市民が集まって展開されている社会運動。
社会福祉 人間らしい生活をいとなむことが自力では困難な人々(貧困者、高齢者、障がい者、子どもなど)に対して、生活レベルで援助する社会的な営み。日本国憲法第25条に規定された国の責任による生存権保障の手段として、制度化された。生活困窮者に対する生活保護、子どもの健やかな成長のための児童福祉、ひとり親家庭、高齢者、障がい者の生活安定などを目的とするひとり親福祉、老人福祉、障がい者福祉などが法制化された。しかし当初より財政的裏付けは貧弱で、遅れている。このため70年代「福祉の充実」は政治革新の中心課題となった。しかし今日では、政府の新自由主義政策の中心として、福祉削減が進められている。
就業規則 使用者が労務管理を効果的におこなうために、労働条件や職場規則を定めたもの。労働基準法では10人以上の労働者を使用する者は、就業規則の作成または変更にあたっては労働者の意見を聴くよう義務づけられているが、最終決定権は使用者にあるので空文化している。就業規則は、労働基準監督署に届け出、また見やすい場所に掲示して労働者に周知させないと処罰されることになっているが、この周知義務もほとんど守られていない。それどころか使用者は就業規則を一方的に改悪して労働者を締め付ける道具にすることが多い。
終身雇用制 新規学卒者を定期的に採用し、事業所内教育によって正規労働者にふさわしい技能を修得させ定年になるまで継続して雇用するという、民間大企業、官公庁などにみられる我が国特有の雇用慣行。年功序列型賃金、企業内福利厚生施設などとともに労使協調関係の基盤の1つとなってきた。この制度は20世紀初めに、定年制、退職金制度とともに成立した。この制度は非正規労働者という差別的雇用制度を生み出す原因となった。熟練労働者の確保、労働者の企業帰属意識の培養をはかるとともに、企業別労働組合を労使協調主義におさえこむための重要な柱の一つとなった。
シュプレヒコール デモ行進時などで、参加者みんなでスローガンを叫ぶこと。
秋季年末闘争 民間では年末の一時金(ボーナス)引き上げを中心としたとりくみ。公務では夏の人勧を受けて労働条件全般にわたっての改善を求めるとりくみで年間の運動のヤマ場。
春闘 春季闘争。わが国の労働組合が、毎年春という特定の時期にあわせ、賃金闘争を中心にして、要求、交渉時期、戦術を可能な限り統一し、これを軸に全国的にも統一してたたかう、日本独特の闘争形式。 労働組合が企業別に組織されているわが国で、その限界をカバーするもの。 1955年、日本労働組合総評議会(総評)のもとでの春季賃上げ共闘会議からはじまり、高度成長の中で定着した。70年代からは減税や、物価対策など国民的課題も掲げる国民春闘とよばれるようになった。民間においては年間の運動の最大のヤマ。
順法闘争 労働基準法、労働安全衛生法などの労働法制が守られていない事実が日常化している中で、法規上の権利・義務を厳格に守ることによって、ストライキと同じような影響を経営者に与える闘争形態。残業拒否、定時出退勤、年休取得闘争などがある。
書記 シークレッタリー(secretary)。組合の事務的な業務を行う。組合に雇われ組合から賃金が支払われる。
職場委員 職場で組合を代表する組合員のこと。日本では分会長とよぶことが多い。職場配布物の配布や、署名の要請、組合員の勧誘活動、運動への参加呼びかけなどを担当する。
す
ストライキ 労働者が労働条件改善のために、一定期間、一斉に労働を放棄すること。これにともなう損失に対し労働者は賠償責任を問われない。
せ
セアート CEART。国連のユネスコとILOが合同でつくっている「教員の地位に関する勧告」がまもられているかを点検する専門委員会。
セアート報告書 セアートが2003年11月11日に出した報告書で、日本の指導力不足教員認定制度に対し、制度上の欠陥が多数あることを指摘している。その内容は以下の通り。①指導力不足教員を認定する判定委員会の委員が、教育委員会の推薦人に限られていること。②教育職は専門性が高いのに、その指導や能力に関することの判定に教員代表が排除されているのは不可解であること。③指導力不足教員の認定申請の具体的内容を本人が知ることが難しいこと。④申請内容に疑いを持っても、反論する充分な根拠が不明なこと。判定委員会に出席して意見を述べる権利もないため実効的な反論の機会も保障されていないこと。⑤判定委員会の委員名が明らかにされていないこと。⑥議事録や会議内容を被判定者自身が請求しても非公開であること。⑦したがって判定にいたる経緯が非常に不透明であること。 これらのことから、文部科学省が述べるような現行制度では「教員の地位に関する勧告」の水準を到底満たし得ないと結論づけている。また指導力不足教員の判定と措置に関する制度が「勧告」の諸規定に合致するよう再検討されるべきことを強く求めている。さらに「管理運営事項であり『勧告』の適用対象外」という文部科学省の主張を認めることはできないと述べている。
成果賃金 出来高賃金ともいう。労働の成果に応じて支払われる賃金。労働者は収入を増やすために自ら労働強度を高める傾向に陥り、そのため使用者は労働者を監督するのが容易になる。使用者はまず一部の上位者を除いて賃金を切り下げ、後にその一部の上位者に対しても賃金を切り下げる。こうして人件費を削減する。
生徒参加、保護者共同の学校づくり 全教が20年ほど前に打ち立てた基本方針。新人事評価に対する対抗軸。
生理休暇 労基法では、「生理日の就業が著しく困難な女子又は生理に有害な業務に従事する女子に対し生理休暇」が定められている。
ゼネラルストライキ 地域や産業などの広範囲において、一斉に行われる大規模なストライキ。
全国労働組合総連合 略称全労連。労働組合のナショナルセンター。 特定政党の支持や排除に反対し、「政党からの独立」「共通の要求での行動の統一」などの原則を掲げている。全教も加盟している。
全日本教職員組合 略称全教。教職員組合の産業別連合体。「子ども参加、保護者共同の学校づくり」を掲げている。長崎高教組も加盟している。
専門部 組合内で年代や性別、職域などに応じてつくられる様々なグループ。長崎高教組では、青年部、女性部、定時制通信制部、実習教員部、障害児教育部、事務現業職員部の6つがあり、準専門部的な組織として、司書部専門委員会、養護教諭専門委員会の2つがある。
そ
争議権 労働者たちが団結して要求実現のためにストライキやサボタージュなどを行う権利。戦後、日本国憲法は労働者の基本的権利として第28条で団体行動権という表現で争議権を原則的にみとめている。
た
第一次教育基本法(1947~2006) 日本国憲法にもとづいて教育の理念や教育行政のあり方などの基本をしめした法律。民主的・平和的人間像の目標(前文・第1条)、教育行政における不当な支配の排除(第10条)など、全体として民主的条項からなっていた。政治と教育の反動化をめざす第一次安倍内閣により2006年に改悪され、民主的条項の多くを削除、教育の国家統制を強める第二次教育基本法に変質した。
団結ガンバロー 政党や労働組合の集会などで最後の締めの言葉・行為として行われることが多い。「万歳三唱」のようなもの。
単産・単組 産業別労働組合の発達が不十分である日本における用語で、ナショナルセンターにおける単位となる産業別組合(実態は企業別労組の連合体)を単産といい、その構成組織を単組という。
団体交渉権 労働者が労働組合を通して使用者と交渉する権利。日本国憲法第28条および労働組合法第1条、第6条でこの権利を保障している。労働組合法第7条2号は正当な理由のない使用者の団体交渉拒否を不当労働行為として禁止している。
ち
「賃金・権利」確定交渉 公務において、人勧・人事委員会勧告を受けて、労働条件の改善を求めて行う雇い主との間の秋~年末にかけての交渉。 秋季確定交渉、年末確定交渉、賃金確定交渉などともいう。
て
定期中央委員会 中央委員会。長崎高教組では大会に次いで2番目に重要な決定機関。毎年1月に開催。主に春闘の方針などを決定する。分会の中央委員と、支部長、支部書記長で構成する。本部は中央委員会の決定に従ってその内容を執行する。
定期大会 大会。長崎高教組ではもっとも大事な会議。年間の方針を決定する。分会の代議員と、支部長、支部書記長で構成する。本部は定期大会の決定に従ってその内容を執行する。
出来高賃金 成果賃金のこと。
デモ デモンストレーションの略。要求や力を示すことを主な目的として行われるもの。多くは「デモ行進」。
デモ行進 デモンストレーションのための行進。大人数で街頭を行進し世論にアピールする。
な
ナショナルセンター 労働組合の全国組織。産業別労働組合が集まって構成。日本には2つ存在し、全教は「全国労働組合総連合(全労連)」に加盟している。
ね
年次有給休暇 年休。目的を要件とせず私用で取得可能。
ひ
ピケ(picket) ストライキの存在を知らせ、スト破りを実力でするために、組合員がプラカードを掲げながら練り歩く行為。
ふ
フリーライダー 必要な負担をせずに利益だけを受ける人。「ただ乗り者」。「コスパ最強」だがそういう人生で幸福なのか考えたがよい。
へ
ベースアップ(ベア) 定期昇給分を除き、賃金が前年より増額した分。物価上昇や生活向上の分との労働組合の要求にもとづいて盛り込まれる。
め
メーデー 5月1日。世界の労働者がその時々の要求を掲げてデモンストレーションをし、国際連帯の意志を示す統一行動日。起源は、1886年5月1日、アメリカのシカゴを中心に8時間労働制を要求してゼネストを展開した労働者を記念したもの。1890年以降、世界中で取り組まれている。日本では、1920年より開催。
よ
ようこそ、今日こそ、高教組 長崎高教組で2010年代前半まで使われていたスローガン。
よい教師はよい組合員である よい教師であろうとするならば、子どもたちのことを思って優しく行動できなくてはならず、それができる人は、職場の同僚にも同じように優しく対応できるはずで、困っている仲間がいれば力を尽くそうとするはずだから、よい組合員であるはずだということ。民主的教師論の反映であり、旧日高教と旧日教組内改革派に始まり、これらが合流してつくられた全教に受け継がれた考え方である。
れ
レイバーノーツ(laber Notes) アメリカで1979年に創刊された労働運動の月刊情報誌とその発行団体。正式には「労働教育・研究プロジェクト」というNPO組織。アメリカの労働運動の改革派の全国ネットワークとなっている。日本の労働運動では全労連との間で交流がある。
ろ
労働協約 労働組合が使用者との間で結ぶ労働条件などについてのとりきめ。文書にまとめられ、労使双方が押印して成立する。多くの公務員は制限される。
わ
ワークシェアリング work sharing 労働者どうしで雇用を分け合うこと。