議員はこういう現場の声にまず寄り添ってほしいものです。

密室談合と政党間の取引で何事も決めてしまう日本の政治は、「民主主義12歳」(マッカーサー)のレベルから成長していないのかもしれません。

「教師を殺す気か」現役教員が語る”沈みゆく教育現場”、給特法改正は「評価できない」(弁護士ドットコムニュース) – Yahoo!ニュース

国が思い描いている将来はこうです。

右表の「主任教諭」が今回新設された主務教諭のモデルです。ちなみに主任教諭の賃金は導入前の教諭の賃金より低いそうです。

教職調整額の引き上げの財源は、文科省内のやりくりでと財務省からくぎを刺されているので、どこかを削らないといけません。だから特支の調整額を半減にしたり、教員特別手当を3分の2にしたりしているのですが、それでもまだまだ足りません。基本賃金を削る以外にないのです。そのために主務教諭を導入して全体を引き下げます。

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教職調整額10%になっても、今より所得は下がっているかもしれません。

文句を言っても県教委は「昇任しなかったからだ。あなたの努力が足りないのだ」としか言わないでしょう。

文科大臣がコメント

 5年かけて10%にしか上げず、しかも多くの手当等を削るくせに、「約50年ぶりとなる教員給与の引き上げを実現します」とは、よく言えたものです。

 またもともと既定だった中学校35人以下学級の他に、教職員を増やす具体的計画は何ら示していないにも関わらず、「取組を進めるにあたり、各教育委員会や学校が、最も重要な主体であることは言うまでもありません」などと責任を下へと丸投げです。

文科相「働きがい感じられる職場環境に」 教員の働き方改革(毎日新聞) – Yahoo!ニュース

全教、記者会見

6月11日、給特法等改定案の成立を受けて、全教は記者発表を行いました。10社の報道機関が参加しました。「主務教諭」の創設と特別支援にかかわる「給料の調整額」の半減に関わる質問がありました。

 子どもたちのSOSを受け止め、子どもたち一人ひとりの成長と発達に寄り添った教育を実現するために、長時間過密労働と教職員未配置の解消は絶対条件です。全教は、ゆきとどいた教育を実現するため、教育政策の転換と教育予算増の実現をめざします。

 長崎高教組は、改定法案の条例化を許さないたたかいに全力をあげる決意です。

給特法等改定案、参院本会議での討論の要旨

会派は発言順に記載。

共産(反対)   
 残業代不支給が教員を増やさないことにつながっている。
 教職調整額が残業代の代わりなら10%では足りない。
 特支調整額など諸手当等の削減は不当。
 主務教諭の新設は職員の分断を生む。
 時間外労働の存在を認めることが縮減の大前提。

立民・社民・無所属(賛成)
 少しでも長時間労働の縮減につながる修正をと考え、
 立民が中心となって附則をつけたので賛成。
 以下の項目の実施を求める。  
 ①持ちコマ数の削減②教育課程の編成の見直し③教員の増員④支援員の増員、保護者対応などでの措置⑤中学35人学級の次年度からの実現⑥勤務実態調査の実施

維新(賛成)
 教員が時間的精神的にゆとりをもって働くことをめざす法案なので賛成。
 維新が要求して実現した附則は第5条。その趣旨は人事評価の改善が必要ということ。休んだ先生の代わりに働いた時間数の記載欄を設けるなどし、頑張った先生の業績が評価され、賃金やボーナス、昇給に反映するようにすべき。人事評価のしくみを国が示すべき。

国民(賛成)
 一定の前進があるので賛成。
 アフタースクール等の充実も必要。

参議院インターネット審議中継

全教委員長の訴え

「主務教諭」導入は長時間過密労働の解消と全く無縁。学校現場の階層化、序列化はなぜ有害か。『クレスコ』6月号の児美川さんの論考は強い説得力をもつ。今の現場の危機をもたらしたのは教育政策。