全教、記者会見

6月11日、給特法等改定案の成立を受けて、全教は記者発表を行いました。10社の報道機関が参加しました。「主務教諭」の創設と特別支援にかかわる「給料の調整額」の半減に関わる質問がありました。

 子どもたちのSOSを受け止め、子どもたち一人ひとりの成長と発達に寄り添った教育を実現するために、長時間過密労働と教職員未配置の解消は絶対条件です。全教は、ゆきとどいた教育を実現するため、教育政策の転換と教育予算増の実現をめざします。

 長崎高教組は、改定法案の条例化を許さないたたかいに全力をあげる決意です。

教育職給料表の改定の準備

 6月11日に給特法等改定案が成立したことで、主務教諭が導入され、そのための級が新設されます。国がモデルとした東京都の制度にあてはめると以下の通り。
  1級 実習教員・寄宿舎指導員
  2級 教諭
  3級 主務教諭
  4級 主幹教諭・指導教諭
  5級 副校長・教頭
  6級 校長

 各県では、現在密かに改定を準備しているようです。すでに校長会で県教委が報告してしまった県もあるらしい。

 ちなみに東京都では3級でも導入前の教諭の賃金より低いそうです。

 改定での政府の狙いは、学校の階層化とトップダウン化、人件費の切り下げ、の2つで、長時間労働の縮減ではありません。

 長時間労働縮減に期待して、与党案の密室での修正に乗ってしまった政党や教職員組合が多くあり、そのために教職員の願いであった反対での一致を貫けず、法案成立を許してしまったことは、誠に残念なことです。

給特法等改定案、参院本会議での討論の要旨

会派は発言順に記載。

共産(反対)   
 残業代不支給が教員を増やさないことにつながっている。
 教職調整額が残業代の代わりなら10%では足りない。
 特支調整額など諸手当等の削減は不当。
 主務教諭の新設は職員の分断を生む。
 時間外労働の存在を認めることが縮減の大前提。

立民・社民・無所属(賛成)
 少しでも長時間労働の縮減につながる修正をと考え、
 立民が中心となって附則をつけたので賛成。
 以下の項目の実施を求める。  
 ①持ちコマ数の削減②教育課程の編成の見直し③教員の増員④支援員の増員、保護者対応などでの措置⑤中学35人学級の次年度からの実現⑥勤務実態調査の実施

維新(賛成)
 教員が時間的精神的にゆとりをもって働くことをめざす法案なので賛成。
 維新が要求して実現した附則は第5条。その趣旨は人事評価の改善が必要ということ。休んだ先生の代わりに働いた時間数の記載欄を設けるなどし、頑張った先生の業績が評価され、賃金やボーナス、昇給に反映するようにすべき。人事評価のしくみを国が示すべき。

国民(賛成)
 一定の前進があるので賛成。
 アフタースクール等の充実も必要。

参議院インターネット審議中継

全教委員長の訴え

「主務教諭」導入は長時間過密労働の解消と全く無縁。学校現場の階層化、序列化はなぜ有害か。『クレスコ』6月号の児美川さんの論考は強い説得力をもつ。今の現場の危機をもたらしたのは教育政策。

不当な要求をしているのはどちらか? 

 給特法等改定案の附帯事項に「不当な要求等を行う保護者への対応」との文言がありますが 不当な要求をしているのは、文科では? 人も増やさずに、早く帰れとか、どうやったら実現できるのでしょうか? 理不尽で不可能なことを要求する。この文科の態度はまったくモンスターです。

保護者はモンスターか? 

 給特法等改定案の附帯事項に「不当な要求等を行う保護者への対応」との文言があります。人は様々ですから、中には不当と思える要求をされる方もおられるかもしれません。でもそういう方がなぜそうなのか、その背景を、教員なら考えないといけません。そしてよくあることですが、不当な要求をしているのは実は教員の側だったりもします。

 子どもは保護者とも一緒になって育てていくものです。保護者をモンスターを考えてしまうと、それでもう教育は上手くいきません。