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学校をアップデートする思考法
■著者からのメッセージ
みなさんは、いまの学校教育に大満足ですか?子どもたちは活き活きしていますか? 働いている先生たちはどうですか?
いいところもたくさんありますが、正直、問題山積みで、閉塞感もただよう昨今の学校。しかし、打ち出している政策や取組のなかには、ちょっと的外れではないか、ポーズをとっているだけではないかと思われるものもあります。
この『学校をアップデートする思考法』では、学校をよりよくしていくために、どんな発想やアプローチがあるのか、何が真に重要なのか、学校のソトの業界、企業等での成功と失敗を教材に、忖度なく解説しました。
教師崩壊
出版社書評 日本の教師は危機的状況にある。年間5千人が精神疾患、休職となる「死と隣り合わせの現場」で働き、その過酷な労働環境が「学ばない教師」「信頼されない教師」を生み出している。
しかしその背景には日本の教育の「構造的な大問題」があると、全国の学校現場を渡り歩く著者は指摘する。
そこで本書では、教師の現状をデータとファクト」に基づき客観的に示し、そこで起きている5つの危機を「ティーチャーズ・クライシス」と題して解説。
現在の危機的状況を脱し、豊かな教育を取り戻す方法についても提言した、未来の教育の必読書。
子どもを主人公にした奈良教育大学付属小学校の豊かな教育
奈良教育大附小の教育内容への教育行政の不当介入事件 奈良教育大附属小は、子どもたちの発達に即した豊かな教育実践を重ね、長年にわたり全国の研究者から注目されてきました。ところが昨年、県教委・文科省が、学習指導要領に沿わない部分があり、校長の権限も制約されていると指摘し、大学に調査と報告を行わせました。これを受け大学は、内容の変更を附小に要求、教員を「研鑽のため」他校に順次「出向」させると発表しました。一方で校長は教育次長に「栄典」しました。保護者と学者を中心に、抗議と「出向」撤回を求める声が上がっています。
教育の未来を拓く、学校でのICT「活用術」
ICT活用は誰のため?何のため?活用の先の未来は? 教育の場でのタブレット利用がとても危険なものであることを、学力面、健康面、社会・政治面など様々な点から示す。タブレット利用先進国では深刻な学力低下が起こり、紙の教材に戻す国も出てきていると指摘。
核兵器と戦争のない世界をめざす高校生たち
あの時代、その時代の高校生は 何を思い、活動していたのか
評者 平井秀治(高教組元委員長)
高校時代の3、4年は誠実さと不誠実さ、純粋と不純が入り交じる、揺れる時代でもある。誠実さと純粋さは社会の矛盾や問題に正面から向き合わせる。それだけにその後の生活で多少とも意に沿わない生き方が強いられると、多感で揺れた高校時代を思い出す。
こんな事を一気に蘇らせるきっかけを与えてくれる本が出来上がった。『核兵器と戦争のない世界をめざす高校生たち 平和集会・平和ゼミナールの50年』である。
最初の1974年の平和集会(広島)に関わった高校生は古希を迎えようとしている。それから7年後の81年、初めて長崎で開かれた平和集会は長崎市油木にあった市立長崎商業高校体育館で開かれた。その時の高校生は還暦を過ぎる。50年にわたって展開されてきた全国の平和ゼミ活動。あの時代、その時代の高校生は何を思い、活動していたのか、蘇る。95年の第22回長崎集会に関わった山下国浩さん(当時、長崎西高生 現・東京在)は本文中で「私にとっての平和ゼミでの学び」は「まさに青春の1ページ」と語っている。
あの映画監督・山田洋次さんは推薦の辞を送る―「高校生平和集会に集まる皆さんは、ほんとにぼくの希望です」と。
核兵器と戦争のない世界をめざす希望の書として本棚に並べて置きたい。そして、長崎平和ゼミの再建、再開を考えてみたい。
ヒトラー・ナチと現代日本
いつか来た道 歴史に学ぶ
評者 南邦和(日本ペンクラブ会員)
本書は、約10年前(2013年7月)に麻生太郎副総理兼財務大臣が、あるシンポジュームの中で発言(口をスベラシタ)したとされるナチスの「あの手口を学んだらどうかね…」というヒトラー容認ともとれる妄言を、コトナカレ主義で傍観しているマスコミはじめ多くの日本国民への失望感からの、問題提起のための著者畢生の労作である。
若い戦後世代にとっては、すでに知識の空白となっている〝第二次世界大戦〟であるが、とりわけ、狂信的な戦争指導者であったヒトラーと彼を盟主とする「ナチズム」という狂気の思想集団が生み出した「ホロコースト」に象徴されるユダヤ人へのジュノサイドという近現代史の恥部を抉る告発の書となっている。
アドルフ・ヒトラー(1889~1945)が政権を掌握したその時代(1933)に生を享けた私にとっては、同時代の現代史をリアルに復習する待望の一冊でもある。300頁を越す本文と併せて、巻末にはヒトラーとナチスドイツに関する詳細な歴史年表が付されており、表紙裏には著者の手描きによる世界地図と〈大日本帝國〉時代の版図を示す書き込み、さらに裏表紙には、日中戦争・大東亜戦争(当時の呼称)の舞台となった、中国大陸における日本軍の展開図と〈三光作戦〉などの事例が書き加えられている。
まず冒頭に「ヒトラーとは?ナチスとは?」の主題が、ヒトラーの年代記とその雄弁な〝演説〟、ナチスの党勢拡大の過程がわかりやすく説明され、第2章以下、第一次世界大戦(欧州大戦)から第二次世界大戦へと至る「戦争の世紀」におけるドイツと日本(当時は〝三国同盟〟による同盟国)の国内、国際情勢が記述されている。
特に、第6章「『八紘一宇』のスローガンと/小林多喜二の拷問死」は〈八紘一宇の塔を考える会〉の会長経験者である著者の豊かな学識・経験をもとにした、ややジャーナリスティックな展開となっており、「治安維持法」に基く学問・思想の弾圧、特高警察を手先とする小林多喜二虐殺に代表される〝国家犯罪〟への手厳しい糾弾が見られる。
本書には、各章ごとに本文を補強する注釈が付され、時代や人物を解説している。その点では単なる読みものではなく近現代史のディテール(細部)を示す〝学術書〟でもある。私なりに特に興味を抱いたのは、1933年(昭8)に起こった京都大学滝川幸辰教授の罷免に際しての、鳩山一郎文部大臣の記者会見(5月19日車中で)での発言である。「刑法読本の発禁、僕がさせたのだ…時勢だよ…時勢の力だよ。止むを得ぬ」。
時代はやがて第二次世界大戦へと突入し、〝独ソ戦〟におけるドイツ軍の敗退、ヒトラー政権の崩壊とヒトラーの自決。そして太平洋戦争における日本軍の敗北、「ポツダム宣言」の受諾と、一気に戦争終結へと歴史は動いていった。本書中、繰り返し引用されている「麻生妄言」への厳しい指摘は、現在(2024)なお政権中枢にとどまる(つい最近は「もしトラ」の思惑から緊急渡米、前トランプ大統領にシッポを振ってきている)麻生太郎というコリナイ政治家(政治屋)への痛烈な批判であり、〝裏金問題〟に見る自民党という腐敗政党への痛打でもある。